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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2003年 11月 12日

10cc

オリジナル・サウンドトラック/The Original Soundtrack

わたくしにとっての10ccは4人組時代(グールドマン(B)、スチュアート(G)、クレーム(G&Key)、ゴドリー(Ds))でありまして、この4人で1973年から1976年の間に4枚のアルバムを残していますね。それぞれがボーカルもとれるし、楽器もとっ替えひっ替えして、凝ったアルバム作りをしていました。

デビューアルバム「10cc」では、ビートルズやツェッペリンのパロディみたいなことをやって、「ギズモ」なる謎の楽器(実はギターのアタッチメントやった)まで登場させて、どっちかというと「おちゃらけたバンド」のイメージが売りやったように思います。実は作曲のセンスも楽器のテクニックも、そこいらのバンドよりはるかに高いものがあったと思います。並のテクニックでツェッペリンのパロディをやっても、サマにはならなかったでしょう。

「おちゃらけたバンド」のイメージが「売り」やったと書きましたが、本人達はどうだったんでしょうね。ま、話題をふりまいて注目されたらそれで良かったのかも。というのもその後の作品は、どんどん素晴らしいものになっていきましたからね。ただ、最初の「パロディ路線」イメージが強すぎて、なかなか正当に評価されなかったようではありますが。当時の音楽評論家諸氏も「おちゃらけバンド」としての評価からなかなか離れられなかったようです。だから日本ではたいして人気が出なかったのかも。

メンバーの4人のうち、グールドマン、スチュアートはポップ路線、ゴドリー、クレームはアイデア派、実験サウンド路線、とはっきり分けるわけにはいかないと思いますが、この2つの路線の融合がわたくしにとっての10ccの魅力でした。4枚目の「びっくり電話」を最後に2つのグループに分裂して(ゴドリー、クレームが脱退した)、「やっぱり」と思ったファンは多かったようですね。皮肉にもそれから10ccはポップ・ロック・グループとして人気が出てくるんですけど。



わたくしが最初に買ったアルバムは「びっくり電話(ハウ・デア・ユー)」でして。当時FM番組でよくこのアルバムが紹介されてまして。わたくしも10ccといえば「おちゃらけバンド」やと思ってたんですが、なかなかどうして「面白いサウンド作りやんけ。ひょっとしたらこれは、プログレに通じるものがあるかも!」と思ったのが運の尽きでしたね。

最後のアルバム(4人では)となった「びっくり電話」も名曲ぞろいのアルバムですが(特に最後の「電話を切らないで」は涙もの)、全体のまとまりという点では「オリジナル・サウンドトラック」が上回っているように思います。

「オリジナル・サウンドトラック」は3枚目のアルバムでして。タイトルにあるような、何かの映画のサウンドトラックじゃないところが、彼ら一流のジョークとしてとらえられてました。しかし、中身はジョークどころではないです。

聞くたんびに発見があるんですね。1曲目の8分半に及ぶ組曲「パリの一夜」は、サウンドエフェクトを効果的に使って、それこそ「映画を見るような」曲を作ってしまいました。この曲、電気楽器がほとんど(全然?)使われてないんですね。生の音を丁寧に積み上げて作られてます。録音も秀逸で、わたくしはこの曲の最初の場面(パリの裏町をイメージした自転車のベルやドアの音など)がちゃんと再生できるかどうかで、ステレオの再生チェックをしてました。

ヒットした「アイム・ノット・イン・ラブ」のバックコーラスも、150回以上もオーバーダビングしたそうで。ご苦労なことです。それで音が歪んでいないのが不思議。録音テクニックもずば抜けていたんでしょうね。この曲、よく聞くと、分厚いサウンドなんだけど使ってる楽器はギターとベースとエレピだけなんですね(リズム刻みにシンセサイザーを使ってるけど。打楽器はナシ)。そういう、ただ凝ったことをするだけじゃない丁寧さ、センスの良さがアルバム全体に活きてます。

「二度目の最後の晩餐」はノリノリのロックンロールになってるし、「人生は野菜スープ」は何回聞いても励まされる(^◎^;)内容で、大好きです。最後の「我が愛のフィルム」なんか、どうしてこんな「なんかの映画のテーマそのまんまの曲」(もちろん、彼らのオリジナルなんやけど)を作れるのか、あきれるほどです。

ところでこのアルバム、わが家のレコードではオートスタートにすると最初の部分が再生されないんですね。はじめの空白の溝部分が日本標準よりも短いらしいのです。といって、わが家のレコードはれっきとした日本盤なのですが。おかしいなあと思ってたんやけど、ウェブで調べたら原盤からのプレスを 10ccが要請したそうです。普通はマスターテープから日本盤を作るんですが「音質が悪化しかねない」という配慮だったようです。ここらへんにも彼らの「凝り性」が現れてますね。そのおかげで、このレコードを聴くときはドキドキしながらマニュアル操作しないといけないんですが。



持ってるレコード(CD)

* 10cc
* シート・ミュージック(Sheet Music)
* オリジナル・サウンドトラック(The Original Soundtrack)
* びっくり電話~ハウ・デア・ユー(How Dare You!)

by tacobu | 2003-11-12 12:00 | 音楽


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