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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2006年 03月 07日

久しぶりに

いろいろ忙しくってねえ。っていうのは嘘。なんとなく書いていなかっただけ。なんとなくって?自分でもわからへんねんけど。無理矢理理由を考えてみたら。時間がないときでも読みたい本は読みたい。ちょっとの暇を見つけても読む。読み終えたら、次の本。なにしろ図書館で借りてきた本は本棚にいつでも乗っている。読まれていない本たち。読まれていないのはかわいそうなので、なんとか読んでいこうと思う。一冊読み終えるごとに次の本、次の本と読み進みたくなる。となると、本の感想どころでなくなってきてね。そうこうするうちに本の返却日がやってくる。そして読んでない本も読んだ本も図書館へと帰っていくのでありました。

そして、「どんな本を読んだのか」を忘れてしまうのですな。もちろん本の内容もうろ覚えになって。そうなると感想なんか書けるわけはない。ははは。

が、しかし。それでも。前にも書いたけど「これとこれは読んだ」「これは(だいたい)こんな内容やった」というのを書き残しておきたいという気持ちはあるんですね。

などといろいろ言い訳をしたけれど、つまりは書くのが億劫やったってことだけやねんけどな。今こうやって書いてるってことは。オリンピックも終わったし野球もしばらくやれへんし。ということで時間ができてゆっくり書けるってなもんやね。



さて。先月末から書いてないので、「読んだけど書いてない」本がたまってます。思い出されへんぐらいやな。ま、忘れてしまってたら、ハイそれまでよってコトで。

昔のことを思い出すのより、今の出来事をとにかく書いておこう。今日読み終わった本。高橋源一郎の「もっとも危険な読書」(朝日新聞社)は、週刊朝日に1998年5月から2000年12月まで連載されていた「退屈な読書」を集めたもの。集めに集めたり、全部で130のエッセイが詰め込まれてます。数えたんかい。暇やなあ。

どれも3ページ弱のエッセイで。内容はもちろん本について。物語について。それが小説だけじゃなくて詩やエッセイや、時にはマンガにまで及んでいるところがこの人らしいです。前に読んだのは「小説入門」みたいな本やったな。で、内容が意外にも似通ってる。まあ週刊誌の制約(ページ数)というのもあったんやろうけど、もうちょっと突っ込んでくれても、と言うところで終わってる話も多いけどね。でもこれだけの量になると(全部で400ページ弱)ひとつやふたつやみっつやよっつの言葉足らずがあっても、それはそれで味になるってなモンですな。



トルーマン・カポーティの「叶えられた祈り」(川本三郎訳・新潮社)はカポーティの遺作です。未完です。アメリカのハイソな社会の内幕を、実名入りで描写したことで、カポーティは社交界から追い出されたとか。友達もなくしてしまったとか。でもそんなことでなくなるようなら、友達とは言われへんのではないかと僕は思うんですが。

そんな裏話は、あとがき(本のプロデューサーと訳者と、両方が載っている)に詳しいです。実をいうと、本文よりもこのあとがきの方が面白かった。僕には。本編の方はねえ。なんというか。ただの「ゴシップ小説」か「内幕暴露小説」から、ちょっと出たくらいの印象しか残れへんかったなあ。あ、結局最後まで読まれへんかって、第1章で挫折したんですが。

ある作家が、過去を回想してつらつらと物語をすすめるというのは、プルーストの「失われた時を求めて」とまるっきり一緒で新鮮味がない。プルーストを意識しているのは明らかで、あちらの「一室」にあてはめて、YMCAでの引きこもり状態をつらつらと書いてはる。ううむ。それが面白いと思えるかどうか、やねんな。



ちくま文庫の「怪奇探偵小説傑作集(3)」は久生十蘭の巻。これも途中までしか読んでないなあ。ま、短編集やから、あるまとまったところまでは読んだんですけどね。「黒い手帳」「湖畔」「月光と硫酸」「海豹島」「墓地展望亭」「地底獣国」「昆虫図」「水草」「骨仏」まで。題名をずらっと書いてみると「ああ、こんな話があったなあ」とちょっとだけ思い出せる程度には覚えてるな。探偵小説、というより「探偵趣味」といったところやね。推理小説を読むような「はてなはてな」というところはあんまりなくって。どちらかといえば大衆小説を読んでいるような感じ。江戸川乱歩にも近いけど、そこまでおどろおどろしくもなく。ちょっと気取ったところさえ感じさせますな。それが、いかにも昔風の気取ったところなのが面白い。いや、面白くない、という人も居るでしょうが。



恩田陸の「MAZE」(双葉文庫)は面白かったなあ。前に短編を読んで、話題になってる作家ではあるけれど、こういう本を書くのかと思って、長いものを読みたくなって読んでみた。つまり初めての長編です、僕が読んだ。

アジアの西の方に、白い建築物がある。中は迷路のようになっているらしく、中に入った人が消えてしまうという現象が起きる。もうずっと昔から(伝説になるぐらい)その現象が起きている。その謎を解き明かすべく訪れた4人の男。そして物語は意外な方向へ。という話。

SFなのか伝奇ものなのか。白い建築物の謎は解き明かされるのか。というミステリー風の楽しみがあり(それもSFチックな)、と思っていると話は意外な方向へ(こればっかりやな)。

最終章で「そういうことやったんかあ!」と、解決されるように思われるんやけど、さらに一捻りがあるところが、また。なんというか、面白すぎるよ、恩田陸。



集英社文庫の「短編復活」は、小説すばるの創刊15周年を記念した短編小説集。はっきりいって「玉石混交」。面白いのもあり、つまらないのもあり。どこかで読んだようなものがあったり、「これは誰だっ!」という発見もあったり。こういうのを読むと、いろいろ読むのが楽しいなあ、読書って面白いなあって、改めて思うんですよね。小説すばるは読めへんけど。



やっぱり本は面白い。そして本について書くことも楽しい。これからもちょこっとずつでも書いていこう。楽しいから。

by tacobu | 2006-03-07 18:20 |


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