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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2006年 07月 09日

クリスティー特集(^◎^)

早川書房から出ている「クリスティー文庫」は、字も大きいし、訳も新しいのが多いらしい。まだ3冊しか読んでいないけれど(4冊だったか?)それぞれ原作の面白さもあるけれど、訳が新しいというのもあって、とても読みやすい。そして、推理小説っていうのは「読みやすい」っていうのが結構重要な要素なのじゃないかとも思うのですな。なにしろ読みにくければ、ただでさえ謎と不思議に満ちた話が、ややこしくてわからなくって、最後に(たいてい最後だ)種明かし、探偵の(だいたい探偵だ)推理を聞く段になって、はてそういう事やったかいな、とわけがわからなくなったら、それこそその小説の楽しみを半分以上、いや8割方はなくなってしまうのだな。

昔読んだはずの「スタイルズ荘の怪事件」なんか、改めて読んで、初めて話が繋がったりした。まあ、昔は訳も分からず読み進むってことができてたんでしょうが。

で、最近読んだクリスティーをふたつ。「青列車の秘密」は、始まりがスパイ小説風で、今まで僕が読んだクリスティーとはちょっと毛色が違うなあ、と思ってて読んだんやけど。話の筋としても、まあちょっと変わってるかな。「青列車」という表題から、「オリエント急行殺人事件」を想像して、ああいう列車ものかいなと思ったら、ちょっと違ってて。やや作品の質としては落ちるかな。

「邪悪の家」は、前にテレビドラマになったときに「エンドハウスの殺人」とかいう題名でやってるのを見ていたはずで。でもほとんど筋も忘れてたし、犯人も誰やったかいな、と思いつつ読んでしまった。意外性のある展開、と言うべきなんだろうけれど、あまりにもその「意外性」が取って付けたようなものだったので、逆に途中で犯人の目星がついてしまう。まあこれは、今までに似たような推理ものをいっぱい読んでしまったからともいえるけどなあ。

そうそう、推理小説の楽しみというのは、犯人が誰やろう、と読みながら推理しながら読むっていうのがありますよね。だから書き手の方は、できるだけ読者に分からないように、読者に挑戦するように、トリックを考えたり、犯人らしき人をいろいろ並べたりして、分かりにくくする。でもそれだけじゃ推理小説は成り立たないわけでね。それ以上に登場人物の面白さとか、話そのものの面白さとか(ユーモアとか、逆におどろおどろしい様子とか)がないと、後には残らないですよね。その点からいうと、「青列車」より「邪悪の家」の方が出来がいいです。

ラストの、最後にひとつだけ残った謎(ポアロにも分からなかった)が解かれたとき、思わず「ほほほ」という気分(どんな気分なんだか)になってしまいました。このユーモアは実に面白い。

by tacobu | 2006-07-09 19:05 |


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