2006年 11月 06日
「天使と悪魔」を読んだ。「ダ・ヴィンチ・コード」で名をはせたダン・ブラウンの第2弾、ではなくこちらの方が先なのだな。 おなじみの(2冊しか読んでないのに)ジェットコースターストーリー。 とにかく次々といろんな謎が出てきて、それをまた次々に解いていく。解いていくのは主人公の象徴学者ラングドン。 その持てる知識を総動員して、古代ローマの、バチカンの隠された謎をも解いていく。というか、あんまり知られていない事実史実から、敵(ここではバチカンを破壊しようとするテロリスト)の投げかける謎に立ち向かう。 しかしねえ。最初に殺されるのが密室で、ラングドンと一緒に解決に走り回るのがその娘。そして意外な犯人・・・と、もういろんなところが「ダ・ヴィンチ・コード」にそっくりなのがどうも気になる。 まあ同じ作者なんだから、ということなんやけど。まるで同じ話の違うバージョンを読んでいるみたいでね。まあその分、同じように楽しめるということはあるねんけど。 とはいえ。今回のは1時間にひとりずつ枢機卿が殺されていくという緊迫感。加えて5時間後には反物質が爆破するという、時間に追われる展開。まるで本の上の「24」みたいなものだ。だから途中で読み終わることが出来ないのだけれど。 ゲーム感覚で楽しめる。しかもバチカンの、あまり知られていない歴史や美術の秘密も語られるのだから、まあオタク的にとても楽しめるのだな。 ふと、全然関係ないけれど、ちょっと小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」を思い出した。 あれはいちおう推理小説なんだけど、実のところ推理の中身は分かりにくくて面白くない。面白いのは、いたる所にちりばめられた主人公が語る蘊蓄で、それは話の筋には何の関係もないのだけれど、「黒死館」という名前と一緒になると、なんともいえない雰囲気が漂って、それを味わうだけで楽しくなるのだな。というか、そういう楽しみしかない小説だった。 ダン・ブラウンはそこまで「蘊蓄好き」ではないけれど、「こんなことがあるんだよ、面白いだろう?」というのが次々に出てきて、ほんとにこの人の頭の中はどうなっているんだろうと思ってしまう。 まあ、途中はどうも都合がよすぎることがいっぱい起こるんだけど、それはそれ。ともかく、楽しく一気に読むこと。途中であれこれ考えていたら、いやになってくる。 そ。人間ドラマがありそうでないねんなあ。最後のどんでん返しも、ほんとは「おおっ、そうだったのかっ!」と思わせたいんだろうけれど、そこまで二転三転四転したストーリーを読み続けた後では、 「そこまでやるかあ・・・・」 という気になってしまう。この加減が難しいだろうなあ。そこのところがダン・ブラウンのちょっとなあ、と思うところ。
by tacobu
| 2006-11-06 19:47
| 本
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