たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2006年 11月 11日

イギリス風お笑い

ウッドハウスは2冊目である。前に読んだ「ウースター家の掟」がとっても面白かったので、また読んでみたのだ。
若き貴族バーティー・ウースターとその執事ジーヴスと、バーティーの悪友たちが巻き起こすドタバタ喜劇。

前に読んだ「ウースター家の掟」は大長編だったが、この「比類なきジーヴス」は、解説を読むともともとは短編として発表されたものを組み合わせて、一つの長編のようにしたものらしい。たしかにひとつひとつの章ごとに、ちゃんとオチがついていて、それぞれ単独でも十分楽しい。
というか、まあ確かに短編小説集やなあという感じ。

どの話も似たり寄ったりで、「友人の頼み事を断ってはいけない」という家訓を守るバーティーが、「我こそは親友なり」と申し出るどうしようもない連中に振り回され、さて万事休す。せっぱ詰まって危機に陥って、さてどうなる? となったときに、どこからともなく問題が解決する。問題を解決するのは執事のジーヴス。執事や召使同士の連絡網から、「小耳に挟んだ」あらゆる情報、さらには古典から現代(通俗なもの)に至るまでの文学的素養(?)を駆使して、さりげなく問題を解決していくその手腕。

解説によるとウッドハウスという人は非常に多作だったようだが、「1冊を読めば100冊が分かる」と言われるくらいに、同じような話を次々に書いていたようだ。
だから、こんな短編集でも、大きな話の筋は先ほど書いたようなものばかり。
しかしそのどれもが面白くて、ついつい先先と読んでしまうのだ。

その笑いのセンスは、古いイギリス風のもの。
だいたいが貴族のおぼっちゃんが騒動に巻き込まれ(それもほとんど自分のせいで)、それを(身分の低い)執事が解決し、
「そのように取り計らいをいたしました」
などと言われたら、それだけで大いなる皮肉だ。
そういうのを、皮肉を、いやらしくなく笑いにしてしまう才能があるのだな。これってオースティンにもつながるような気がする。だからイギリス風かと思うんだけど。

翻訳の森村たまきさんは、本職は犯罪学の法律家なのですね。ウッドハウスが好きで、たまたまこのシリーズを翻訳したと解説に書いてあったけど。
「原文の面白さがなかなか表現できない」と謙遜してはるけど、訳文は十分面白い。さらに続きも読んでみたくなる。どれも同じと分かってるのだけれど。
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by tacobu | 2006-11-11 19:49 |


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