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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2007年 04月 15日

軽いけど面白くて考えさせられて

ぶたこに薦められて読んでみた。「ボーイズ・レポート」は今のアメリカのヤングアダルト小説になるのかな。
面白くて、一気に読んでしまったよ。次の展開を知りたくなってね。別に推理小説ではないよ。でも「このあとどうなるの?」という気分になってしまって、どうしても途中でやめられなくなる。ううむ、こういうの、珍しいな。

主人公ミーガンは一人っ子。軍人のお父さんが韓国の基地に赴任することになって、一緒に韓国に行くか1人残って知り合いのおじさんおばさんの家に同居するかを迫られる。結局ひとりでアメリカに残ることにするのだが、その叔父叔母夫婦の家には男ばかりの7人兄弟が居たのだった。もともと男性恐怖症(?)気味のミーガンはどうなる?
しかもおばさんは、初めて「娘」がきたことに舞い上がっていて、一緒にショッピングやエステに行きたがる。ミーガンはサッカー好きのアウトドアな女の子で、買い物も化粧すらも興味はないのに。
唯一の救いは転校した学校、そこでサッカーチームにはいること。と思いきや、ここには学校一美人の誉れ高く、しかもチームのリーダー格でもある(しかもお高くとまっている)ヘイリーが君臨していて、なにかとミーガンに当たってくる。
さて、両親とも別れてしまったミーガンはこれらの困難をどう乗り越えていくのか。引っ越してからの二週間の物語が始まるのである。

まあよくあるような、学園もの、青春ものの感動ものなんやろうと思いつつ読み始めたら、先に書いたとおり途中でやめられなくなってしまったのであるな。展開がスピーディーなこともあるけれどね。とにかく最後まで一気に読めてしまう。というか読んでしまった。

主人公が、サッカーがうまいという以外には、特に取り立てて取り柄がないというか、特別な才能を持っているわけではないのに、降りかかってくるいろんな問題に前向きに、真正面から立ち向かっていく姿がさわやかだ。おもわず「がんばれ!」と声援を送りたくなる。
どうやって自分を認めてもらうか、ということよりも、どうすれば自分の正直な感情を伝えられるかということに思いがかたむいていくのが、とてもおもしろい。
そして表題の「ボーイズ・レポート」とあるように、男の子の心理をいろいろ分析して親友にメールするのだが、それがとても的を得ていると、おじさんも共感するのである。うまい。

同居する7人兄弟のそれぞれの個性が、よく描かれているようで、いまひとつはっきりしないところもあって(7人もいるからねえ。ややこしくなりすぎているであるよ)、そこだけが惜しいなあ。結局は何人かとももめ事みたいなことになってるみたいに見えるし。

でも、「やや意外な」結末も楽しかったし。さわやかな終わり方(感動的にならないところがまたいい)には感心。



各方面で話題の、そして好評の奥田英朗作の「イン・ザ・プール」を読んだ。いや、確かに面白いであるよ。
精神科医伊良部一郎のもとには、心を病んだ人たちがやってくる。やってくるのだが・・・この伊良部一郎本人がとてもあやしい。まずはとにかく注射をしたがる。それも鼻息荒くなって。注射フェチなのだ。しかもただ1人いるナイスバディな看護婦は露出狂?
そんな精神科医にかかって患者は治療されるのだろうか?

やってくる患者はプール依存症のサラリーマン(泳がずにはいられない)、陰茎硬直症の営業マン(勃ちっぱなし)、携帯電話依存症の学生、自意識過剰のコンパニオン、等々。
そんな患者たちに伊良部一郎は
「話を聞くだけで病気なんか治るわけないジャン」
と平然と言ってのける。
それだけならまだしも、患者の病気に積極的に関わってくるのである。つまりプール依存症の患者と一緒になってプールに入り浸る。携帯電話依存症の学生に携帯の使い方を教わって、しょっちゅうメールをするようになる、といったぐあい。

やがて患者がみずから(という感じだ)自分を取り戻していくという、なんとも都合のいい話がなのだが、だったらこの伊良部一郎はなんなのだ?

ふと思い出したのが、わたくしの大好きな「ぶたぶた」に似ている。特異なキャラクターが悩んでるひとの悩みを癒す。パターンは一緒やねんけど、こちらはかわいいぬいぐるみなんだけど(それがしゃべったり諭したりするのはやっぱり変やけど)、伊良部一郎はれっきとした人間。しかしキャラクター的にはやっぱりおかしい。

いろんな書評で書かれているように「抱腹絶倒」とはならへかったけどね。まあ売れるのは分かるような気がする。楽しくて癒し系、しかもあり得ないくらいの変なキャラ。

by tacobu | 2007-04-15 00:18 |


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