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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2007年 08月 12日

【鹿男あをによし】万城目学(幻冬社)

「鴨川ホルモー」に続く、万城目学の、古都シリーズ第2弾。ウソ。「シリーズ」かどうかは知りません。でもこれからも同じような話を書いてくれそうなので。
「書いてくれそう」という期待を持つのは、もちろんこの話がとても面白かったからなのだ。
「鴨川ホルモー」もめっちゃ(あえて「めっちゃ」と言ってしまおう)面白かった。鴨川は京都だが、「鹿男」はもちろん(もちろん、というのは関西に住んでいるからだろうけど)奈良が舞台です。

静岡から、事情があって(大学院の研究室を追い出されるかっこうで)奈良の女子高校に講師としてやってきた主人公。どうも奈良の空気になじめない。生徒からはからかわれるし、同僚もどうもおかしげだ。
そんな中、朝の散歩に出た奈良公園で、いきなり鹿に話しかけられ、おまえは「使い番」に選ばれた、と突然宣告されてしまう。そして「使い番」には、人間を救う重要な役割があるのだと。

舞台がよく知った奈良っていうこともあって、場所が思い浮かんで楽しめる。まあ知らなくても楽しめる話になってるけどね。
奈良といえば鹿、その鹿にいきなり話しかけられて、わけも分からず、どうやら大事な役割を負わせられる主人公のあたふたぶりが、とても面白いのだ。
さらに、始めから敵意を持っているかのような生徒の堀田とのやりとり。そのユニークさもよくできてるし。それだけじゃなくて、「重要な役目」と思われた剣道の試合も、息を飲むような迫力があって、いやあこの万城目くん、何を書いても「読ませる」ものを書けるじゃない。ほんまに、途中でやめられへん面白さやで。

そして最後には、ちょっとほんのりと、恋心もくすぐったりなんかしてからに。
笑わせてハラハラさせて、ジーンとさせるなんて、なんてよくできた話なんだ。これがどうして、もっとベストセラーにならないんだ。
それは奈良が舞台になってるからなのか。ううむ。卑弥呼が怒るで。ナマズも怒れ。

by tacobu | 2007-08-12 23:25 |


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