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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2008年 05月 25日

父と子、の話なのだが

ユベール・マンガレリという人のことはぜんぜん知らずに、2冊を読んだ。「おわりの雪」「しずかに流れるみどりの川」(いずれも田久保麻理訳・白水社)

フランスの作家なのだと。児童文学もかいているらしいが、この2冊が翻訳されたすべてらしい。どちらも父と子の関係が物語の中心となっている。

「おわりの雪」では、病床の父親との関係。母親は夜になると出かける。主人公のぼくは、トビを買いたい。しかし家の収入は父親のもらう年金と、ぼくが老人ホームで散歩の相手をしてもらうわずかなお金だけ。そんなとき、猫の始末をたのまれる。そしてトビを手に入れるのだが、父親の病状は悪化。ぼくが話す空想のトビ採りの話も聞き取りにくくなってくるようだ。

「しずかに流れるみどりの川」では、ぼくはお父さんと二人暮し。お父さんは工場をリストラされて、庭師のような仕事で何とか生活をつないでいるが、電気が止められ、二人の生活は窮地に。お父さんは「ツルバラ」を育ててひともうけしようとする。そしてある夜、ふたりで豪華な食事に出かけるのだが、そこで厳しい事実を知る。

ええと、このあらすじはかなりええ加減な書き方をしています。もうちょっと深みのある話なんだけど。で、作品としては「しずかに流れるみどりの川」のほうが先に書かれたのだが、翻訳されたのは「おわりの雪」のほうが先だったのだな。確かに事件の起きかたというか、物語の起伏としては「おわりの雪」のほうがはっきりしているかもしれないが、個人的な好みでいうと「しずかに流れるみどりの川」のほうが僕には気に入ったな。こちらのお父さんは、どうもどうしようもない父親のようなんだけど、なぜかこちらの親子のほうが、気持ちのつながりがあるような気がするねんなあ。

とまあ、比べれば、という話になる。実はどちらも実に短い話で(160ページていど)、細かい描写というのもないし、大きな事件、ややこしい事件もおこらないのだな。ちょっと物足りない。

by tacobu | 2008-05-25 17:13 |


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