2005年 08月 12日
「ライ麦畑でつかまえて」を初めて読んだのは、高校生の時やったと思うなあ。確か、期末試験か何かの真っ最中で。夜中に勉強してる、その合間に、ちょっとした息抜きのつもりで読み始めたら、面白くって途中で置けなくなって、朝までかかって一気に読んでしもたなあ。 で、次の日は試験やったはずやねんけど。どうなったかは全然覚えてない。 それよりも何よりも、図書館からこの本を借りてきて、ぶたこに「どんな内容やのん?」と聞かれて、はて、面白かったっていうことは覚えてるねんけど、話の内容の詳しいことは全然頭に残ってないねんなあ。題名の「ライ麦畑でつかまえて」は、こどもが歌っていたメロディを主人公が心に留めて・・・っていうところまでは覚えてるねんけど。 高校を退学になった少年が(青年か)、寮を出て・・・で、どうやったっけ。いろんな人に会うんやったか。 改めて読んでみて。いやあ、やっぱり一気に読んでしまいそうになりました。さすがに自分には若いときのような勢いがないから、ひと晩でというわけにはいけへんかったけど。 なんていうかねえ、この主人公のホールデン・コールフィールドに、他にはないような共感をおぼえてしまうねんなあ。 わしはホールデンみたいに学校を出ていったり、酒場で酒を飲んだりとかするわけやないのに。どう考えても、この主人公と自分との共通点なんかなさそうに思えるのに。なんでかしらんけど、この主人公に惹かれてしまうんですよね。 おとなになって(つまり今(^◎^;))、読んでみて、ちょっと理屈っぽく、なんで面白いのかを考えてみると(そんな風に考えながら読むのはどうかと思うねんけど)、この主人公って、周りの人に愛情を持ってるような気がするんですよね。 寮の同居人にも、我慢がならなかったりするんだけど、どうも憎んではいないような。それどころか(最後に告白のように書いてるねんけど)懐かしんでいるような。 やけになってムチャクチャする、ということもなく。酒を飲みタバコを吸い、あっちへこっちへとふらふらとさまよってるんだけど。なんか分からんけど憎めないんですよね。イヤな気分にはならない。不思議な雰囲気です。 それと、兄妹の話がよくでてくるねんけど。兄弟に対する愛嬢も深いような気がするなあ。 そういえば、このあとに書かれた「フラニーとゾーイ」も「シーモア」(だったかな)も、兄妹の心のつながりのようなものが大きなテーマやったな。 人間嫌い(だと思う)で、ずーっと長い間隠遁生活を続けているサリンジャーが、そういうところを物語の中心に置いてるのも面白いな。っていうか、自分が書いたものほどの心のつながりには恵まれなかったっていうことなんかな。
by tacobu
| 2005-08-12 12:00
| 本
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