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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2004年 04月 27日

「バックミンスター・フラーの世界」ジェイ ボールドウィン(著),梶川 泰司(翻訳)

バックミンスター・フラーって、建築の世界では有名らしいですね。フラー・ドームっていうのがあるらしい。そんなこと、全然知らんとこの本を読み始めたのですが。図書館でペラペラットめくったら、今まで見たことの無いような面白そうな建築が載っていたので。

「普通の人々が、苦労なく暮らせる世界」というのが、基本のコンセプトだったようですね。そのために、建築(平たく言えば家、住家)が大事だということで、「いかに安価に、簡単に建てるか」ということから、今で言う「プレハブ住宅」の原型のようなものを提案したようです。
面白いのは、「こういう素材があるから、それを利用して新たなものを作ろう」ということではなく、逆に「今はこれを実現する素材が無い。だが将来開発されるだろう」という考えからデザインされたものが多くあるっていうこと。当時(1920年代)はアルミが、軽くて丈夫な素材として選ばれていた。当時は高価やったらしいですね。いまや缶ジュースになってるものなあ。その辺の予測もしていたわけで。単なる「建築家」ではないですよね。また、単なる「未来予想屋」でもなかった。それにしても「アルミの家」って。
実際に大学で教鞭を執って、学生と一緒にドーム作成の実験をしたり。さらに、低動力の乗用車までつくったり。その発想の豊かさには脱帽する。

でもね。っていうのがあるんやな。
フラーの考えていた「安価な、簡単な建築」というのは、大量生産できることが重要な柱やったりするんやな。大量生産することで単価は安くなる。しかし、それって大量消費にもつながるしなあ。今で言う「循環型住居」っていうのも考えてたらしいけど。ひとつのドームの中で、野菜を育て、排泄物は肥料にする。無駄な遺物を作らない。それが大量生産と果たして結びつくのか。しかも、そういう住居を1件建てるのが目的じゃなくて、世界中がそういう住宅になればいいくらいは考えてたかも。それって、いいのか悪いのか。
幸いにも、というべきか、フラーの考えたようには世界は動かなかった。少なくとも彼の生きている間は。これからどうなるかは分からへんけど。

by tacobu | 2004-04-27 12:00 |


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