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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2003年 09月 11日

近代日本の合唱音楽1

1989年の8月に放送された「近代日本の合唱音楽」という、シリーズものを聞きました。作曲家の林光さんの監修、指揮による演奏会の録音です。その年とその前の年にシリーズで演奏されたものだそうです。合唱は東京混声合唱団。ピアノは演奏会ごとに変わっていて、田中遥子さんと寺嶋陸也さん。

滝廉太郎から始まる日本の音楽史(西洋音楽史?)を、今まであまりやれていなかった「合唱音楽」の観点から見ていこうという企画だったようです。今ではほとんど聞かれない、戦前の合唱音楽(プロレタリア合唱運動も含めて)を紹介していて、たいへん面白い企画だと思いました。

ただ、戦前の曲は、どうしても今の耳で聞くと「古くさい」という感は否めませんね。滝廉太郎の「花」はまだしも、それ以降もどこか出来合いの合唱音楽の日本語版のように聞こえてくるのが多いような気がします。あるいは、今だったらクラシックではなく、歌謡曲に近いような(もちろん、それらが芸術的に劣っているという意味ではありません)そんな曲が多いようです。

その中にあって、柴田南雄作曲の「梅」(1941)は、飛び抜けて「現代的」な曲で、驚かされました。いや、あるいは合唱曲だけを取り上げて並べると、そういうかわりばえがしないという風になるのかもしれませんね。器楽曲はもっと先に進んでいたかも。プロの合唱団が出てくるのは戦後のことだから、戦前は「みんなで歌えるもの」「アマチュアのレベルで歌える平易なもの」を目指していたでしょうし。そのなかで「梅」を作った柴田南雄さんの感覚って、どんなんだったんでしょうね。

個々の曲は、それぞれ別々に聞くとどうってことはないのかもしれませんが、こうやって「時代」の中で、同時代の曲と比べて聞くとその個性が際立ってくるということがあるようです。もちろん「個性がない」のも分かってしまうわけですが。

じつはまだシリーズの最後まで聞いてなくて、ようやく戦後の合唱が始まったところまで聞きました。(1回の演奏が80分弱で、それが5回のシリーズになっている。最後は「原爆小景」だと思う)
戦後の合唱は、さすがに耳慣れたものが一挙に出てきたって感じです。月光とピエロ、信濃の秋、柳川風俗詩・・・。特に「月光とピエロ」が演奏されたときは、「日本の合唱もここまで来たか」と、妙な感慨にひたってしまいました。

戦前の作曲家では、やはり山田耕筰と信時潔が先進だったようです。ほかにも橋本国彦とか平井康三郎とか・・・。楽譜は持ってるけど、あるいは名前は聞いたことあるけどっていう曲が、実際の音として紹介されるのはうれしいですね。林光さんの解説も、口調はたどたどしいんだけど、内容というか、曲を取り上げる視点とかがはっきりしていて、それぞれの時代背景もよくわかって面白かったです。こういう企画、外国の曲ではよくありますよね。ルネッサンスからバロックまでとか、バロックから古典派までとか。日本の、というと珍しいです。もっとあってもええと思うけど。でも、お客の入りは悪そうですね (^◎^;)。わたくしも、これらの曲を演奏したいか、と聞かれたら、う~ん・・・・(^◎^;)

by tacobu | 2003-09-11 12:00 | 音楽


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