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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2006年 04月 13日

同じ時期に同じような本を読むのはどうか

たまたまなんやけど、同じような主人公の本を同時に読んでしまった。同時に、というのは、ひとつはハードカバーで家で、ひとつは文庫なので電車の中で。読み分けていたんだけど、どうしても比べてしまう。そしてその差が歴然としてるからなあ。

クリフ・マクニッシュの「レイチェルと滅びの呪文」(金原瑞人訳・理論社)は児童書、恩田陸の「劫尽童女」(光文社文庫)は普通の小説、という違いはあるけれど、どちらも「超人的な能力を秘めた少女の物語」という点では同じ。僕は児童小説やから、普通小説やから、という読み分け方はキライで、どんな物語にせよ「面白いかどうか」が問題なのですね。

「レイチェルと滅びの呪文」は3部作の1作目なんですと。地下室で少女がさらわれる。弟と一緒に。さらわれた先は地球ではない星イスレア。そこを支配する魔女と対決することになったレイチェル。いつのまにか不思議な力を身につけていくのだが、それが意外な方向へと自身を連れていくことに気がついて・・・。さて、イスレアの人々を救うことができるか。

まあ、よくある冒険話で。少女と魔女の対決、というのもありきたりやしなあ。魔女の風貌は、文字だけでは想像もできひんような醜いものでね。よおこんなもの考えたな。そして魔法の話だけにいろんな呪文とかが出てくるねんけど、細かい説明とかはなくてね。レイチェルが魔法の力をどんどんつけていくのも、どうもご都合主義のように読めてしまう。つまりは、展開がありきたりで、途中でだんだん飽きてくるんやな。

作者はIT関連の仕事をしてるんやて。だからかなあ。話の展開が「こうなったら面白くなる」っていう、その「展開」だけを楽しんでるような感じで。あ、ロール・プレイング・ゲームに似てるか。やったことないねんけど。

それに比べると恩田陸の「劫尽童女」は、とんでもなく面白い。先が読めなくてつぎどうなる?このあとは? と、どんどん読み進めてしまう。

DNA操作(それも明確には書かれていない)で生み出された超能力を持つ少女。年を経るごとにその能力は進化してゆく。元々は軍事目的(これもはっきりしない)の実験として作られたのだが、もちろん人間として成長もしていくのだな。やがて秘密組織「ZOO」に追われるようになり、逃亡し、そして身を守るために人も殺し・・・というと殺伐としたイメージやけど、なぜかこの人の小説には人のあたたかみのようなものが感じられるねんなあ。だからひどいシーンとかがあっても嫌じゃない。読み終わった後も、しらっとした気分にはならない。不思議やなあ。

SFなんやけど、単なるSFに終わってない。超能力を持った、つまり「他の人とは違う」ことに悩む姿も描かれていて。主人公に思い入れてしまうのですな。読みながら。そう思わせるところ、すごいなあ。

by tacobu | 2006-04-13 18:32 |


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