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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2006年 04月 22日

翻訳者の名前で本を選んでもいいのだ

クリストファー・ポール カーティスは初めて読んだ。「バドの扉がひらくとき」(前沢明枝訳・徳間書店)は作者の祖父がモデルになってるんだと。

大恐慌時代のアメリカミシガン州フリント。主人公のバドはお母さんとふたりで暮らしていたが、そのお母さんが病死してしまう。バドは「子供の家」で暮らすことになるが、里親がみつかり越していく。しかし、その家の息子とけんかをして(よくある話だけど、その息子は甘やかされていて、うそつきで乱暴者。そしてその両親はバドより息子を大事にしている)、家出をする。持っているのは大きなカバン。中にはお母さんの写真と、なぜかお母さんが大事にしていた石とチラシ。チラシは別の町のバンドの広告。このバンドマンがきっとお父さんに違いない、だってお母さんが大事にしていたものだもの。というわけで、バドはひとり、その町を目指すことになるのだが。

大恐慌時代の雰囲気だとか、人種差別だとか、親子愛だとか。まあそういうものがいっぱい詰まった話なんだけど。説教臭くもないし、といってアウトロー的でもない。とにかく全編にわたるユーモア(それはバドのユーモアなんだけど)がとっても面白くって、ハラハラもするんやけど、どんどん読めてしまう。

よくある「孤児だけど頭のいい素直な子が、幸せになりました」というような話じゃないところが面白い。いざというときには嘘もつく。うまく生き延びるにはそれくらいしないと。なんて考えているところが面白いなあ。他のも読んでみたくなったな。



デイヴィッド・アーモンドの「火を喰う者たち」(金原瑞人訳・河出書房新社)は、不思議な物語やった。イギリスの海辺の町。主人公の少年ボビーは有名(たぶん)中学に入学する。しかしそこは教師(僧侶)による体罰が日常的に行われていた。ボビーには子供の頃からの友人も居る。また同じ中学に通うことになった「よそ者」のダニエルもいる。それから大道芸人のマクナルティー。実は彼はお父さんの知り合いだった。戦争で頭がおかしくなって、大道芸をするようになった(らしい)。折しもキューバ危機がおこり、世界は第3次世界大戦→人類滅亡の不安に包まれて・・・。

はっきりと「こういうことがあって、こういう理由でこうなった」というのがいっぱい省略されていて、それは読み手が考えないといけないんですよね。それが楽しいねんけどね。いろんな事件が重層的に起こって、そして海岸でのひとときに集まっていくんですね。それが、とっても劇的にそうなるんじゃなくて、すごく淡々と「自然にこういうことになりましたあ」っていうところがまた、とってもユニーク。核戦争とか差別とか、内容はすごく激しいものがあるのに、物語の印象はとっても「静か」なんですね。なんか、ええなあ。こういう話を書ける人。



翻訳家になるつもりはないけど、中島さなえの「翻訳家になるには」(ぺりかん社)は読み物として面白い。雑誌の特集記事を読んでるみたいやった。「翻訳者で読者に選ばれるようになったら成功」って書いてあったな。翻訳者で選ぶ人って居てるってことやな。なんというか、書評を読んでるようなものやからな。

いろんな翻訳者の仕事ぶりとか経歴とか。なんで翻訳をするようになったかとか。いろんな記事があって面白かった。もちろん真面目に「翻訳業」についてのガイドもあって。どれだけの収入が見込めるかとか、実際の仕事にはどんなものがあるかとか。けっこう細かく書いてある。知らんことも多かったな。当たり前か。

これ、ぺりかん社の「なるにはブックス」というシリーズなんですね。ほかのも面白そうやから、機会があったら読んでみよう。いっぱい出てるし。

by tacobu | 2006-04-22 18:35 |


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