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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2006年 06月 26日

短編集といいつつ、これだけ集まればスゴイ量だった

月も終わりという頃になって、久しぶりの書き込み。

アメリカ短編小説傑作選(2000)(DHC)を読みまして。こういうのを読んでると、何冊も読むっていう風にはなりませんなあ。ちなみに、この「DHC」という出版社、化粧品の通信販売でお稼ぎになっている会社と同一であります。「大学翻訳センター」というのが元々で、化粧品の通信販売「も」始めたら、そっちの収入がぐんと上がってしまったという話が、朝日新聞の日曜版beに載っていました。

そんな話はどうでもよく。
これだけいろんな話がいっぱいあると、さて全部読み終わって「感想を」と思っても、忘れてる話もありましてね。とりあえず、ずらっと収録作品を並べると

欲求(キャサリン・チェトコヴィッチ)
ブルーリバー通りの青い悪魔たち(ポー・バランタイン)
ボディ・ランゲージ(ダイアン・ショーエンパーレン)
めぐり合わせ(イーディス・パールマン)
コスモポリタン(アキル・シャーマ)
エルビスはもうこの建物を出ました(キャロル・アンショー)
傷ついた兵士たちの夜(クリス・エイドリアン)
フラワー・チルドレン(マキシン・スワン)
グローリアの場合(エミリー・カーター)
皮を半分まで剥がれた牛(アニー・プルー)
モルヒネ(ドラン・ラーソン)
憎みきれないその人(ブリス・ブロヤード)
瀬戸際に立つ父(ジョン・アップダイク)
償い(マシュー・クレイン)
ここにいるのはあんな人たちばかり(ローリー・ムーア)
ウィルナー家でのお茶会(メグ・ウォリッツァー)
共同戦線(アントーニャ・ネルソン)
恋するウェイン(パジェット・パウエル)
家族の絆(ティム・ガトロー)
愛し合ってるんじゃないと言えますか?(ヘスター・カプラン)

以上、20編。

「サスペンス傑作選」とか「コメディ傑作選」とかいうことやと、ジャンルがあらかじめ決まってるわけやから、本1冊の印象はある程度の偏りというか傾向が現れるわけですが、単に「短編小説」という大まかな区切りやと、いろんなジャンルがまざっていて、一概に評価するのは難しいですな。まあ、評価する必要もないんでしょうが。

テレビで1時間区切りのドラマを、次々に観ているような、そんな気分になってしまいます。どれも面白かった、と言いたいところやけど、そうでもないのもありまして。まあ、これだけあったら、中には作者と心情を重ね合わせることが難しい場合も出てきますワナ。

思いだせるものだけ、それぞれの印象を書いておこう。
「欲求」:アパートに引っ越してきた女性。引っ越した先に居た二人連れの女性に、どうも違和感を抱きつつ、暮らし始める。そして意外な結末。話の主従が入れ替わってしまうのが「へええ」と思ってしまった。最初にこれを読んだので、全部を読む気になったんやな。
「ブルーリバー通りの青い悪魔たち」:カポーティみたい。くらいの印象。
「ボディ・ランゲージ」:「絵本の要素を持った大人の本」ということやけど。挿絵が思ったほどのインパクトを持たない。
「めぐり合わせ」:ユダヤ風ジョーク? よおわからん。
「コスモポリタン」:雑誌に書いてあるとおりに、女を口説こうとするインド人。笑っていいのか、悲しんだ方がいいのか。
「傷ついた兵士たちの夜」:題名よりぐっと陰惨な物語。それだけの印象なのだけど。
「皮を半分まで剥がれた牛」:スリラー。題名の牛の呪い(?)の話。
「瀬戸際に立つ父」:アップダイクは初めて読んだかも。まあ、普通の家族小説。
「償い」:知的障害者を雇う芝刈り職人。雇い入れた男をかばい、叱咤する主人公。しかし悲劇が起こる。その時主人公の頭によみがえる記憶。題名の意味が最後に明かになる。
「ウィルナー家でのお茶会」:精神病院の中で育った少女の思い出。両親は精神科医。患者を時々自宅のお茶会に呼ぶ。その中のひとりと、木陰で会うことになって・・・えええっ! という展開になってしまう。で、それで終わりにならないところが、新しいのか。女性が書いたからかなあ。結末の付け方がね。
「共同戦線」:不妊治療を受けている夫婦が、なぜかフロリダのテーマパーク(としか書いてない)に行く。二人は一度、中絶をした経験がある。また、夫には浮気の前科があり(大学教授の夫は、学生の誘惑に負けてしまったのだ)、相手は妊娠、中絶(ワザとビルの窓から飛び降りた)までしている。その二人がフロリダへ。テーマパークへ。そして、妻のとる行動。というサスペンス仕立ての話。結末が書かれていないのが、いっそう興味をそそられるな。
「恋するウェイン」:「ウェイン」という名前から、西部の男を思いだせたら、楽しく読めるね。そういう下準備というか、アメリカ的感覚がなかったら、何のこっちゃという話。で、僕の感想は「何のこっちゃ?」
「家族の絆」:これはもう、笑ってしまった。おじいちゃんと孫たちの話で、よくある孫に振り回されるおじいちゃん、という図式なのだけれど。

ほんとに印象に残ったものだけ。思いだされへんものは、それだけのものってことやろうなあ。いちいちの作者名も覚えきれません。次に会ったとき「誰やったかな」ってことになって、この本を読んだ甲斐がなくなるようなもんやけど。ま、人生、無駄なことの方が多いってことで。読んでるときに楽しかったら、それでいいやん、とも思うしな。

by tacobu | 2006-06-26 18:58 |


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