2007年 02月 12日
図書館で「島崎今日子」という名前を見たからには、借りずに入られなかった。「この国で女であるということ」は、アエラに連載されていた人物アンソロジーをまとめたもの。まえがきによると、それぞれの取材には相当な労力を費やしているようだ。 そのおかげで、それぞれの章は短いものの、内容の濃い読み物となっていてとっても面白い。島崎今日子の名前で選んでよかった。 それにしても。著者をも含めて、この本にかかれた女たちの強いことよ。その生き方の力強いことよ。 こんな人たちを前にすると、ことなかれ主義で流れにまかせてのほほんと暮らしている男である僕は、小さく収まっているしかない。この人たちの誰にもかなわないなあ。 「生協の白石さん」は、一時期とても流行ったな。おかげで二番煎じ三番煎じみたいな本が出たりもしたっけ。 東京農工大の生協に勤める白石さんが、学生のひとこと要望にこたえた、その返事をまとめたもの。 実にウィットに富んだ回答を書いていて、ほんとに楽しくなる。 僕はウッドハウスの小説に出てくる、執事のジーブスを思い出したよ。その言葉遣いも含めて。丁寧な物言いで、時に冗談で返し、時に警句を与える、そのセンスのよさには参ってしまうなあ。 とはいえ、こういうひとはたぶん至る所に居てはるんでしょうねえ。それにどれくらいの頻度でこういう答えが出せるのか、ということもあるしな。 たとえば100のうち10ぐらいがこういうウィットに富んだ返事で、あとの90ぐらいはごく普通だとしたら、ちょっとがっかりかなあ。 でも、この本の、ひとことカードの間にはさまっている白石さん本人のコラムを読むと、やっぱりこの人はセンスのある人なんだなあということが分かる。それでほっとしたり、やっぱり嫉妬したりするのだな。なんで嫉妬するかなあ。
by tacobu
| 2007-02-12 23:59
| 本
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