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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2007年 03月 27日

先入観を持って読む

そういう読み方はよくないのだろうか。先入観を持って読むというのは。でも多かれ少なかれ、何かの期待を持って読むということも含めて、ある程度の先入観はもって当然とも言えるよなあ。と自己弁護を先にしておこう。

ジャン・コクトーといえば、稀代の表現者。ということだけは知ってる。作家、詩人、映画監督、画家・・・。ああそいえば「美女と野獣」を見たなあ。テレビで。あれはとてもきれいなきれいな、おかげでそのほかのことについては(筋がちょっとおかしいような、とか)全く気にかからないくらいにきれいな映画やったなあ。
実際に映画を見る前、それも何年も前に、淀川長治さんがラジオであらすじや見どころを解説してはるのを聞いていて、きっときれいな映画なんだろうと思って、でもあんな映画が映画館にかかるわけもなく(かかっても見に行くかどうか)、テレビでも深夜に放送してたのを録画して見たんだったか。

のちにディズニーがアニメ化したけれど、あれは5分ほどみただけでヘドが出そうになって見なかったな。あれがアカデミー賞にノミネートされたなんて、アカデミーの質も落ちたもんやと思ったもんやった。

ジャン・コクトーの映画では、白黒の画面にいかにも似合うという白塗りの俳優(ジャン・マレー)の美しさが際だってたなあ。ちょっと耽美的。というか、すこぶる耽美的。野獣の館の、手の形をした燭台が、人の動きに合わせて光を照らすところなども。ちょっと怪奇趣味になりそうなんだけどとてもきれいやったなあ。

などとコクトーの印象を深めていったところで「恐るべき子供たち」を読んだのだ。コクトーの代表作、なんだろうなあ。

題名どおり、不良な少年少女のお話。最初は少年同士の雪合戦に始まって。そこに現れるみんなのあこがれ不良少年ダルデュロス。おお、これが主役か。やっぱり耽美趣味なんやなあ、と思ってたら、これが主役からはずれてしまう。あらら。
そしてダルデュロスの雪玉を胸に当てて、病床に伏してしまう少年ポールとその姉エリザベートとの二人の、おちゃら気のような仲のよいような自堕落のような生活。それに巻き込まれる(というより、自分から楽しみに入っていく)語り手ともいえるジェラール。この3人のだらだらとした生活。これが主役なのか。
やがて弟ポールが他の女性に惹かれるのをみて、嫉妬したエリザベートは弟と女性をおとしめていく。そして悲劇的な最後。

「恐るべき子供たち」という題名が何を意味するのかはよおわからんのですが。子供の精神の恐ろしさを言ってるのかなあ。でもそれにあこがれているような書き方でもある。
間に挟まった挿絵がすばらしい。映像を思い浮かべながら書いたのかも。どこまでも表現することに一生懸命やったということか。というか、表現することがこの人の生き甲斐やったのかなあ。解説を読むと、この小説は阿片中毒からの治療中に書いたらしいし。

by tacobu | 2007-03-27 00:09 |


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