人気ブログランキング | 話題のタグを見る

たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

tacobu.exblog.jp
ブログトップ
2007年 10月 06日

【大聖堂】レイモンド・カーヴァー(村上春樹訳・中央公論新社)

読書感想文第2弾(2/3)
レイモンド・カーヴァーの短編集。なんともいえないわびしさとさびしさと、ほの明かりのような安らかさがまざったような作品群。
前にほかの短編集で読んだこともある、「ささやかだけれど、役に立つこと」(A Small, Good Thing)が、個人的には一番好きかな。いろんな悲しいこと、苦しいこと、喜び、憎しみ、不安、希望。毎日がそういうもので満ちているけれど、毎日のきまった生活を続ける、ということの意味が、なんとなく分かるような、その大切さが分かるような、そんな作品なのだな。まあ読んで。

表題作の「大聖堂」もどこかで読んだな。盲人に本を朗読するボランティアをしている妻が、その盲人のひとりを家に招待する。どうやって振る舞えばいいか戸惑う夫。それを感じ取る客人。だが、徐々にふたりの距離が縮まっていく。むしろ、いつも接しているはずの妻よりも。
やがて、テレビでどこかの大聖堂の解説番組が始まる。もちろん客人はテレビを観ることはできないのだが。そこでふたりは一計を案じる。
人と人とがつながりあえる、その手段、方法はいくとおりもあるものなのだろう。短い話なんだけど、かなり劇的というか、展開が緻密で感動的だ。

by tacobu | 2007-10-06 01:13 |


<< 【かかし】ロバート・ウェストー...      【カモちゃんの今日も煮え煮え】... >>