2007年 10月 06日
読書感想文第2弾(2/3) レイモンド・カーヴァーの短編集。なんともいえないわびしさとさびしさと、ほの明かりのような安らかさがまざったような作品群。 前にほかの短編集で読んだこともある、「ささやかだけれど、役に立つこと」(A Small, Good Thing)が、個人的には一番好きかな。いろんな悲しいこと、苦しいこと、喜び、憎しみ、不安、希望。毎日がそういうもので満ちているけれど、毎日のきまった生活を続ける、ということの意味が、なんとなく分かるような、その大切さが分かるような、そんな作品なのだな。まあ読んで。 表題作の「大聖堂」もどこかで読んだな。盲人に本を朗読するボランティアをしている妻が、その盲人のひとりを家に招待する。どうやって振る舞えばいいか戸惑う夫。それを感じ取る客人。だが、徐々にふたりの距離が縮まっていく。むしろ、いつも接しているはずの妻よりも。 やがて、テレビでどこかの大聖堂の解説番組が始まる。もちろん客人はテレビを観ることはできないのだが。そこでふたりは一計を案じる。 人と人とがつながりあえる、その手段、方法はいくとおりもあるものなのだろう。短い話なんだけど、かなり劇的というか、展開が緻密で感動的だ。
by tacobu
| 2007-10-06 01:13
| 本
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