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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2008年 01月 11日

【星へ落ちる】金原ひとみ(集英社)

ずっと金原ひとみの本を読み続けて、その成長をずっと見つづけている。なんだか父親になったような気分である。そんなのは作家にとってはいい迷惑だろうけど。
あいかわらずの恋愛小説。2007年に雑誌に発表された4編と書き下ろし1編の、都合5編の短編集。真っ赤な表紙に銀の文字で「星へ落ちる」と書いただけの装丁は、文字どおり、そこに落ちていくような錯覚に陥る。どこか、いままでよりも落ち着いた、自信を持った、決意を込めたように見えるのは、こちら見る側の勝手な想像だろう。でもいい装丁だなあ。

さて内容。さっき書いたとおり、相変わらずの内容です。それぞれが単独の話のようであって、連作のようであって。
同棲している「彼」がいる男と浮気をする「私」、その「私」と3年間一緒に暮らした末に別れた「元カレ」は、いまでもしょっちゅう(というか毎日)電話やメールをしてくる。「私」にはうざったい存在。
一方、相手の男の「彼」は、男が浮気をしているんじゃないかという不安と嫉妬で狂いかかっている。
いや、その「彼」だけでなく、この小説では、一般に考えられるような「まともな人間」はほとんど出てこない。
そして、それぞれの話の主人公が、皆一様に「愛」に飢えている。それも「愛すること」と「愛されること」の両方に飢えているように見えるのだなあ。ひとりずつ、相手が違うんだけれど、頼り、頼られている。それが三すくみのように、ぐるぐるめぐっていて終点が見えない。そこがつらいなあ。でも「愛すること」も「愛されること」も、もともとつらいものかもしれない、と考えると、これは正真正銘のウソのない恋愛小説、なのかも。

どこにも救いがないような話の展開なのに、読んだあとに澄んだ気分になるのは、そのせいかも。
ああ、金原ひとみ、またうまくなったなあ。もうこうなったら、この路線でどこまでもダラダラと書き続けてほしい、とおじさんは思うのです。

by tacobu | 2008-01-11 01:04 | テレビ


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