2008年 02月 06日
マーラーはその生涯に10曲の交響曲を完成させたが(1曲は未完)、そのうちの2曲、「大地の歌」と「第9番」は生前に演奏することが出来なかった。初演をしたのはマーラーの弟子、ワルター。この録音はその初演者による演奏で、昔から名盤の誉れ高かったものです。 この曲はロマンチックの極みのような曲だから、どんな風に演奏するのか楽しみにして聞きました。 わたくしは長らく、バルビローリ盤を愛聴していました。あちらはステレオ録音で、ベルリンフィルもいいオーケストラで、迫力と美麗さが同居した、すばらしい演奏ですな。 で、こちらは1938年の録音で、もちろんモノラル。録音の良し悪しからいうと話にならない(それでも美しい音で録れているのはうれしい)ですが、演奏はとてもとても美しいものです。迫力にはちょっと欠けるかな。でもその美しさだけで十分という気もする。 思ったよりさらさらと流れるような演奏で、ロマンティズムを期待していたので、少々肩透かしをくらったというか、別のものが出現したってことで、まあ嬉しさも半分有りましたけどね。そう思って聞き進んでいくと、第2楽章ではだんだんと、「明るいんだけど狂気のワルツ」になって、でも第3楽章は激しさよりもやっぱり美しさが勝っているような。 そして第4楽章のアダージョは、思い入れたっぷり・・・・というのとはちょっと違う、なんだかさらさらとマーラーの書いた筆の跡をなぞるような(変な表現やなあ)、そして気がついたらその先に連れていかれているっていうような(ああ、怖い!)、でも気持ちいい(おお、さらに怖い!)演奏です。思ったより速いテンポやったし。 それにしても。この曲は聞くたんびに、「生きててよかった」と思わせますなあ。そんなん思うのわしだけ?
by tacobu
| 2008-02-06 00:30
| 音楽
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