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たこぶ・ろぐ-日本一お気楽な48歳-

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2008年 02月 10日

【いつか猫になる日まで】新井素子(集英社コバルト文庫)

新井素子の2冊目の本。19歳での作品だそうです。あとがきに丁寧にその経緯などが書いてある。新井素子の本は、いつも丁寧にあとがきがついていて、これがまた本編とは別に、とても面白いものです。本になって、増刷されて、文庫になって、とその度に書かれているようで。これは別のエッセイとして、面白い。

さて本編。同じ夢を見た(ということはあとで分かる)6人の少年少女(青少年?)が、公園に墜落したUFOを発見。エイリアン同士の戦争に巻き込まれる。というか、地球を標的としたエイリアン同士の戦争ということが分かって、それを治めるべく立ち上がる、と言った方がいいのかな。まあ、ともかく平たく言えばそういう話です。

で、宇宙での戦闘シーンとかがあるんだけれど、戦争といっても殺し合いをしているわけではないのですね。そこには「ルール」があって、どちらもそこそこ勝たないように、負けないようになっている。なんじゃそら。つまり多くの死者が出る、ということもないわけですね。エイリアン同士は、戦争をすることが生きがいというか、それしか生活がないわけで、何が原因で戦っている、というわけでもない、というむちゃくちゃな設定なのですな。(これで思いだすのは、アニメの「超時空要塞マクロス」ですが、それはまた別の機会に)
だから少年少女たちだけでも、十分立ち向かえる、ということもあったのかなあ。設定に無理があって、無理がないというか。変な感じ。

そして、この戦争の元々の元凶が・・・・・というところがこの作品のミソなのですね。ただの冒険活劇ではない、なんとなく哲学的な意味合いが感じられる。

作中、主人公がつぶやく、「ハッピーエンドなんか面白くない。王子様と王女様が結婚して、幸せに暮らしました、なんて。あたしはそこで、天から石が降ってきて、みんな死んでしまいましたっていう結末がいいと思うのよ」(正確な引用ではありません。あしからず)っていうのが、どこか作者自身の言葉のように思えるなあ。
だから、「戦争が終わって、よかったよかった」にならない、エピローグがついているのか。これがあるとないとでは、全然作品が変わってきてしまいますからね。でも、あまり深入りしすぎると、収拾がつかなくなる。そんなところに入ってしまったのですなあ。
だから新井素子の作品は、どこかで「終末」を感じさせるものになるのか。なんて、こちらもちょっと哲学的になったりします。
表紙の絵は、「あたしの中の・・・・・」ほどではないけれど、やっぱり50おじさんが電車で読むにはちょっと恥ずかしいです。でも勇気を持って読みましょう。

by tacobu | 2008-02-10 00:14 |


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